1999年 Cuba Tour

Todos Estrellas del Japon
Todos Estrellas del Japon のキューバ公演に関する体験記。

 1999年1月22〜30日、日本のサルサ界のオールスターを集めたTodos Estrellas del Japonのキューバ公演に参加することができた。計5公演、イサック・デルガードと森村あずさがプロデュースしたこのコンサートツアーは、生涯忘れられないイベントとなった。まず、キューバに到着したその日の夕方から、翌日のTeatro Karl Marx 劇場公演のためのリハーサル。会場につくなりイサックバンドのリハーサルが行われており、いきなり緊張感に包まれる。普通のライブと違い、劇場での公演のためイサックバンドと交互に演奏(2〜3曲ずつ)することになり、夜中までリハーサルは続いた。当日(1/23)のコンサートでは、たくさんのお客さんの中(5000人位)、時差ボケもありながらの演奏だったが、コンサートは大成功。我々の演奏途中、ボレロの曲「Sabor a mi」では、いきなりOmara Portuondo(キューバでは有名な歌手)がステージそでから登場し、Noraとのデュエット状態になる。さすがにバンド、会場とも大いに盛り上がった。ステージ後半には、チェオ・フェリシアーノ(歌手)や、Los Van Vanの歌手ペドロも乱入状態となり、大盛り上がりなコンサートになった。楽屋裏、ステージそでにも様々なミュージシャンがいたのだが、なんせ半分暗闇だったのでちゃんと確認できていないが、元オルケスタ・レベのボンゴセーロのオレルギィがババラオ状態でいたり、Perのページョ、ゲタオ(b)さんの師匠カチャイート、ルイスの兄貴マラカなど、そうそうたる人たちが会場にいて激励をくれた。

 Teatro Karl Marxでの初回公演の終了後は、1/26までOFFとなった。この時間を利用して、1/24はアバクアのFiestaに行った。アバクアは、キューバの宗教の内のひとつで、太鼓と歌、踊りによって行われる宗教儀式で、僕もこの儀式は初めて見たのでとても感動した。特に4つの太鼓とカウベルが織り成すリズムは気持ち良く、自然と体も躍動する。
その日の夜には、Salon RosadoにてDany Lozada y su Timba Cubana, Los Tainos de Mayariを堪能。この会場に来るとキューバに来ていると実感する。
 1/25には、キューバの楽器メーカSONOCに工場見学。コンガやボンゴなどのパーカッション、トレスギターなどもたくさん作られていた。カンタンテの岩村氏が持っているこのカウベル(写真)。この位の大きさになると演奏も楽ではない。(実際に使っている人もいるらしい)また、この日の夕方には、Paulo y su Eliteのライブにいった。学生相手のライブだったが、これがまたスゴイ。ライブの後半には乱入させられるはめとなったが・・。
 キューバのバンドを見るときには、このようなキューバ人向けのライブをみるのがいい。Cafe cantanteやCasa de la musicaなど、観光客相手のお店では、バンドの演奏が、明らかに違う。今回、僕はその手の店には行かなかった。キューバ人の聴衆を相手にライブしているバンドは、聴衆との一体感や盛り上がってくる度合いがまるで違う。

 1/26宿泊していたホテル・ハバナリブレの前からバスにてLajas,Cienfuegosへ移動。約4時間くらい走っただろうか、ここでBenny More生誕の地Lajasに到着。いきなり市長の挨拶があり、その後Benny Moreのお墓参り。とても立派なお墓で、その偉大さが伺える。さて美味しい食事の後、会場となったPlaza de Santa Isabel de Las Lajasへ移動。既にたくさんの人が待っていたが、楽器や他の機材はまだ現場に到着しておらず、いきなり4時間の待ち時間。およそ6000人の人々が既に待っていたが、これがキューバ。キューバの人々は待つ事に慣れているので・・・<^^>。逆にこの様な状況が楽しかったりもする。公演開始は午前2時頃?で、終了したのは明け方4時くらいだろうか、この日のライブも停電もなく大成功!その後も歓迎のパーティがあり、ホテルJAGUAに着いたのは朝7時位だったと思う。そのまま疲れた体にムチを打ち、ホテルの朝食を岩村氏と食べた。とにかく食べる事で体力を維持するしかないのだ。それにしてもホントきれいな街だった。


Hotel JAGUA(Cienfuegos)からの景色

 朝食のあと6時間くらいの睡眠をとり、皆でお昼の時間。ホテルの前にあるレストランで、食事はとても美味しかったが、品物が出てくるのに妙に時間がかかる。デザートを食べる頃には2時間は経過している。なんとものんびりとした昼食だった。Cienfuegosはスバラシイ港町で、散歩していてもその喉かさがうまく説明できない。ハバナに比べて空気もうまく感じるし、物静かな町とゆうイメージ。
この日、Cienfuegosでのライブ会場では、たくさんの人(8000人位)で賑わっていた。我々の演奏も回を重ねるごとに、さらに良くなっているようで、イサックバンドのリズム隊のメンバーからも激励を受けた。岩村やNoraも、日ごとに聴衆をつかみとても盛り上がったライブだった。この日のライブ終了後、ハバナに移動。ホテル・ハバナリブレに到着したのは、朝の6時過ぎ。

Issac Delgadoとの記念撮影。Cienfuegosの会場の楽屋にて。

 

 1/29Artemisaに移動。バスで1.5時間位で到着。写真はそこでのリハーサル。会場はこれまた野外の大きなところ。ここにも約6000人の観衆。これまでの会場でもたくさんの人々が来ていたが、これもイサックの人気がスゴイ事を物語っている。計5回の公演をしたわけだが、4公演目のここ、アルテミサでの演奏が個人的にはとても気に入っている。どの会場でも観衆は盛り上がっていたが、この地の人々は特にそう感じた。観衆がより近くに感じられて、反応のリアクションが直に感じられた。観衆の人々の目や反応を見ていると、ホントに音楽とダンスが好きで、生活の一部であり、血が騒ぐんだな〜とあらためて感心してしまう。

 

 最終日1/30には、Salon de Los Embajadores del Hotel Habana Libreにてライブ。入場料30ドルのこの日は、スタートが夜中12時すぎ。外国人向けのライブとなったが、我々のライブにはユムリ(歌手)が乱入したりして、これまた盛り上がる。会場はライブハウスを大きくしたような場所で、日本でゆうとON AIR?といったところ。それでも400人は来ていたようだ。イサックバンドには、Los Van Vanの歌手、ロベルトetcも乱入していて見ごたえのあるライブだった。
 計5公演の大成功は、イサック・デルガードと森村あずさの共同プロデュースによるもので、大変な苦労もあった様だが、この場を借りて感謝の意を表したい。この旅で学んだ事は数多く、刺激になったと同時に、自分の未熟さも良く分かりこれからの励みになるツアーであった。
1999年9月には、Fiesta de Benny Moreが開催されるようだが、またこのメンバーで行ければと切に思う。

ツアー参加メンバー

NORA : Vocal
岩村健二郎 : Vocal (Grupo Chevere)
森村献 : Pf, Musical Director (Orquesta Del Sol, Tropicante)
高橋ゲタ夫 : Bass (Tropicante)
大儀見元 : Congas (Salsa Swingoza)
美座良彦 : Timbales (Orquesta Del Sol, Grupo Chevere, Tropicante)
鈴木義郎 : Drums (NORA Band)
Luis Valle : Trumpet (Tropicante)
佐野聡 : Trombone (Baccus)

キューバ側からのサポート・メンバー
Pavel Diaz : Trumpet
Yulien Riol : Trombone

また、ライブの様子など、TODOS ESTRELLAS DEL JAPONのホームページでも見れます。

 

ツアー番外編

 キューバ滞在を2週間延ばして、いろいろなバンドのライブやリハーサルを見学したが、個人的にはつぎのようなバンドが見れた。下記に紹介しておこう。
Septeto Habanero y otro mas en Casa de Amisdad, Grupo Klimax en Salon Rosado, Afro Cuban all starsの録音(エグレム)、Conjunto Clave y Guaguanco en Callejon de Hammel, Juan Carlos Alfonso y su Grupo Dan Den en Salon Rosado, Ensayo de Yumuri , Tumbao Habana en Anfiteatro de Marianao, Banda Bobby Carcasses en La Zorra y el Cuervo, Pachito Alonso y su Kini Kini, Jose Luis Cortes y N.G.La Banda, Juan Formel con Los Van Van en Plaza14 de Matanzas.
 どのグループもとてもいいバンドだが、特にLos Van Vanは強力で、マタンサスまで(ハバナから約100Km)行ったかいもあり、すばらしいステージに圧倒された。これはマタンサスで行われた「Timba con amor」とゆう企画のライブで3バンドがつぎつぎに演奏。入場料も10ペソ(約60円)で御機嫌な1日だった。Septeto Habaneroもよかったな〜、なんせミュージシャンがベテランの人たちなので演奏が妙に渋い。僕も彼等のような演奏をしてみたいものだ。また、キューバでのライブ情報入手は、そう簡単なことではない。De 5 a 7などのラジオ番組で入手もできるが、なんせ平気で中止もあり得る。ミュージシャンからの情報が一番確実である。情報入手に関しては、キューバ在住日本人で、Grupo DiakaraのPerでもある河野氏には大変おせわになった。この場を借りてお礼したい。

ツアー中でも時間があればこのマレコン通りに足を運んだ。ホテル・ハバナ・リブレから歩いても5分くらい。

この凄まじい楽器。一応ティンバレスだが、スネアードラムを改造して作っているらしい。左のヘッドは破れてしまっていた。パイラを打つ側面には穴が空いている。あまり売れてないバンドでは、この様な悲惨な楽器で演奏されている。もちろん演奏は素晴らしいぞ!(僕も少し乱入させてもらった。)ちなみにバンドは、Los Tainos de Mayari、人気はないが、大好きなバンドの内の一つだ。

 Grupo Klimaxのリハーサル見学時に記念撮影。リハーサルから熱い演奏で、僕らを楽しませてくれた。アレンジも、バンドの勢いも、ホントにすばらしいバンドだ!。写真中央がリーダーでドラムのGiraldo Piloto、左手が我らがバンマス森村 献。

この新しくなったホセ・マルティ空港に、つぎに降り立つのはいつの日か?そう遠い日ではない気がしている。