1996年 Brasil tour

THE BOOM
THE BOOMのブラジル公演に関する体験記。

 '96年5月、THE BOOMはブラジルTOURを行い、そのツアーに参加する事ができた。サルヴァドール、リオ・デ・ジャネイロ、サンパウロの3都市4公演。ミュージシャン16名、スタッフを加えると総勢50名、多人数の日本人がブラジルヘ移動した。成田からバリグ航空でサンパウロまで、乗り換えてサルヴァドールに到着するころには30時間位経過している。さすがに体もボロボロだが、僕の場合は思っていたより、ましな方だったみたい・・。機内には、楽になれるスエットetcを持ち込む。歯磨セットも重要だ。あとはワインをしこたま飲みまくり、「初めてのポルトガル語」を読みながら気が付くと寝ている。という状態。

 サルヴァドールでの公演は2回。まず、「フェスティン・バイーヤ」とゆう毎年8月に4日間行われる大規模な音楽祭の前夜祭のトップバッター。の予定だったが、サンパウロからの楽器が到着せず出演順を換えて演奏開始時間は午前1時30分。でも無事にステージを終え、大喝采を浴びたスバラシイ1発目のライブとなった。同じステージでも、バイーヤの人気パーカッショングループ「OLODUM」は強力で、ものすごいグルーブの中に、体が溶けてしまう程の勢いがあった。(ちなみに全員黒人!)

 翌日の本番当日、トラブルもなく2回目の公演。まずステージがバカでかい。海のそばに作られたステージは絶好なロケーションだ。写真が無いのが残念だが・・。THE BOOMの演奏の後にも、地元のバンド「CHEIRO DE AMOR」や、ジャマイカから来ていたレゲエバンド「LAZZO」etc・・盛りだくさんのフェスティバルであった。
 公演後、CHEIRO DE AMORのパーカッショニストに食事に誘われ、僕と数人のメンバーで海岸沿いにある野外のレストランに行き、フェジョアーダ(ブラジルの豆料理)を食べたが、これがご機嫌においしい。体にエネルギーが蓄積される感じとでも言っておこう。
 この「フェスティン・バイーヤ」の過去には、'98年に日本にも初来日したキューバ人、イサック・デルガードも出演したことがあるそうだ。

 サルヴァドールからリオ・デ・ジャネイロに移動してホテルにチェックイン。コパカバーナ海岸沿いにあるホテルで、部屋からのロケーションも超ご機嫌。ライブ会場はセントロにある巨大な不思議な建物の中だった。ライブでは人気歌手、シモーネ・モレーノ(写真、日本にも来日している)とギターリストのペペウ・ゴメスとの共演もあり、リハーサルから盛り上がっていた。本番でもお客さんが近くに見えた事もあり、興味深かそうに見入る人、踊りまくっている人、面白くなさそうにしてる人、バラードの曲でキスしているカップル、etc・・ブラジル人の反応が直に感じられたライブだったな〜。シモーネの奇麗なかつ、エネルギー溢れる声にも感動した。会場にはリオのミュージシャンもたくさん見に来ていたようで、公演後、「俺もパーカッショニストだ。すごく良かったぞ!」と数人の人から声をかけてはもらったが、いかんせんポルトガル後がままならず会話になっていなかったが、とても嬉しかった。有名なバンドで活躍しているパーカッショニストらしいが、名前は忘れたトホホ・・<^^>。 

 宿泊していたホテルを出ると、道をへだててすぐ海。しかし一人で散歩するには少し勇気が必要だった。スタッフの一人がナイフをつきつけられ現金を持ってかれたのだ。それだけで済んでよかったが。近くにはファベーラ(貧民街)があり警戒が必要だった。散歩や買い物にはいつも誰かとつるんで、なるべく一人にならないよう心がけた。どこの国に行っても危険な場所や人がいるけど、ブラジルは世界でも5本の指に入るほど危険だと言われているので余計警戒していた。

 リオ・デ・ジャネイロの観光ポイントといえば、コルコバードの丘。頂上に巨大なキリスト像があり、夜景はスバラシ!の一言では言い表せない。360度リオの街を見おろせるこの丘にもう一度行きたい。

 サンパウロでのライブ会場は、トム・ジョビンの名を冠した会場「TOM BRASIL」で、最近できたらしい奇麗な会場だった。日系人のお客さんを中心に、おおいに盛り上がったツアー最後のライブ。リオにひき続きシモーネ・モレーノ、ペペウ・ゴメスとも共演。

 サンパウロのイメージは、巨大な都市。特に観光はせず、ひたすら今福健司(マンボッサのメンバー,Per)と共に楽器屋めぐりに励む。有名な所では「コンテンポラーニャ」や「GOPE」。日本にもたくさん輸入されているが、現地の値段は日本の値段の半分以下。パンディエロは合計5つ購入。内2つは頼まれ物。値段は口径と作りによってちがうが、安いもので4000円前後位だろうか。他にもタムボリンや小物を購入。GOPEの工場でも「ヘピニケ」という楽器の購入も決めた。ブラジルの打楽器はかなりの種類があるのできりがないが、どれひとつとっても奥が深いので面白い。

 サンパウロでは、今福健司氏が日本で習っていたポルトガル語の先生が住んでいて、一緒におじゃますることができた。大きな家の中には先生と娘の二人暮し。家の入り口は結構厳重な門。当然日本語もベラベラで、食事をご馳走になったり、バーに踊りに連れて行ってくれたりと大変お世話になった。なかなか一般のブラジル人の家庭におじゃまできる機会などないので、とても良い経験だったぞ-。

 THE BOOMのBrasil Tour 全行程は約2週間。みごとに"あっ"とゆう間に過ぎ去ったが、脳裏に焼き付いている場面は数多く、また、ぜひ行きたいと考えている。特にバイーヤには何か忘れて来たものがある様な気になる程である。あのとてつも長いフライト時間が論理的にはつらいが、行けば必ず得るものがあるので・・・。